乳歯が持つ再生医療への可能性
乳歯の研究
人の歯は、乳歯と永久歯の2つに大別されます。
乳歯は片側にA・B・C・D・Eの5本、永久歯は1~7の7本ずつが並びます。
この2つはただ本数が違うだけではありません。
乳歯列は、永久歯列とはまったく異なる機能を持っています。
たとえば、乳歯の時期には、上下の歯を咬み合わせたまま、あごを水平方向(横方向)に動かすことができます。
これは、顎の発育や咀嚼機能の発達に重要な動きですが、永久歯列になるとこの動きは制限されます。
乳歯に含まれる「歯髄幹細胞」とは?
さらに注目すべきは、乳歯の内部にある歯髄です。
この部分には、歯髄幹細胞と呼ばれる、体の組織を再生する能力を持つ細胞が存在しています。
この幹細胞は、皮膚・神経・血管など、さまざまな組織への分化する能力に優れており、近年では再生医療の分野で大きな注目を集めています。
また、歯髄幹細胞を培養して得られる培養液には、成長因子(EGFやFGFなど)や、サイトカインといった細胞の成長や修復を促す成分が豊富に含まれていることも注目されています。
これにより、傷んだ組織の修復や老化の抑制、さらには美容・エイジングケアなどの分野でも活用が進んでいます。
これらの成分は、肌の再生、傷の治癒、アンチエイジングなど、
さまざまな医療・美容分野での応用が期待されています。
当財団では、乳歯が持つ再生能力とその医療応用の可能性に着目し、歯髄幹細胞に関する研究と臨床活用の推進に力を注いでいます。